2010-10-26

父への手紙 (4)

■テクノロジー

工場のオートメーション化が職人を不要にしたように、テクノロジーの行き過ぎた効率化はそれを扱う人々のリテラシーをむしろ低下させることに留意する必要があります。「離れると自動的に流すトイレ」で育った人が、そうではないトイレでどうやって流すでしょうか。
インターネットはそれ自体、良いものでも悪いものでもありません。使う人次第で情報が意味を持ったり持たなかったりします。インターネットから流れこんでくる情報はあまりに膨大なので、必要な情報を的確に絞り込むスキル、これが常に求められます。もっとも、限られた相手とメールをやりとりするだけの状態は、初めから絞り込まれていると言えます。そうではなくて、情報の荒波に船を出すつもりなら、自分を見失ってはいけないということです。

■国際競争

アジア各国間での関税撤廃の動き等、アジアの経済情勢が大きく様変わりしています。中国もすっかり発展してきたため、日本企業も今度は関税のかからないタイなどへ工場を移転させているとニュースで聞きます。生産能力だけでなく、最初の商品企画からすべて外で行うパターンが増えているそうです。こうなってくると小さなオフィスだけ国内に置く日本企業という、冗談のようなパターンも出てくるでしょう。これからの企業は国内・国外にこだわらず、アジアというフィールドで、アジアマーケットおよび世界を主眼に競争していかなければならない厳しい時代なのだと思います。

それには何よりも基礎としての英会話が重要と感じます。経済情勢がどうなっても、コミュニケーション言語としての英語は当面スタンダードであり続けると思います。今後、商談、製造ライン、顧客サポート等あらゆる場面で英会話が必須のスキルとして立ち現れてくる筈です。話せる者は、言葉の壁、国の壁を容易に越えていけます。今こそこの事に切迫感を憶えていないとまずいです。私も英語能力はまだまだ未熟ですが、なるべくインターネットを通じて海の向こうの英語圏の人と「生きた英語」で文通するなど、一応努力しております。



長くなってしまいました。
9月の「軍艦島」の写真を同封します。
2泊3日で、ここ以外にも長崎市内の観光をしました。

(軍艦島の簡単な説明)



それでは、どうぞお元気で。
是非またお手紙、やりとりしましょう。




書いて投函して、全部終わった後で見返すと、なんという棚上げ文章。
独身モラトリアムに甘んじていますね。精進します。

2010-10-24

父への手紙 (3)

■サイエンス

驚くべき医療の進歩は○○さんの件でもリアルに伝わってまいりますが、逆を返して素直に解釈すれば、我々は「簡単には死ねない時代」にいる、ということになります。臓器提供もニュースの話題ですが、これもその臓器を切望する別の人の命を、繋ぎとめるということでしょう。新薬も相当進化しているらしく、今までは死ぬしかなかったが、その唯一の新薬のおかげで命を繋ぎとめることができるようになったが、高額な医療費に悩まされているケースが、テレビで特集されていました。
医療を行う側は、本人や家族からのデマンドに応じるほかありません。最終的にはこのグレーゾーンの問題に対しては「引き際を、自ら決める」ということが個人的に重要な課題となってくるのではと思います。

逆に医療の進歩を過信している、という人が多くはないでしょうか。悪くなったら医者にかかれば良いという楽観的な態度で、ろくに休みもせず、イライラしてはタバコをやり、眠るために酒をやって「忙しい自分」に恍惚としているような人生では、自身の身体管理責任を放棄していると言えます。健全な精神管理と健全な身体管理があってこそ、健全な人生と言えると思います。お父さんはこのあたりのバランスが非常にうまいなあと、常々思っております。かくいう私は酒もタバコもやりませんが、運動に関して不足していますので(駅まで徒歩している分だけまだマシですが)、積極的な運動の必要性を感じています。

■成熟

まるで高度成長が終わっての停滞感と同期するかのように、いまの若者に共通しているのは精神的な難成熟性です。今日の若者は程度の差はあれ、誰も彼も漫画・アニメ文化の影響を受けています。アニメにも色々ありますが、若者を賑わしているのは中高生の少女が出てくるアニメです。私はそのようなものよりもむしろ「ゴルゴ13」に代表されるような劇画タイプのものの方が好きですが、ともかく今のマジョリティはそこにあるのが事実です。いつの時代も、漫画・アニメの読者はその登場人物を理想像として羨望しますが、その理想的表象の基準が変わったという解釈もできます。いまの若者は、理想的には「中学生・高校生のままで居たい、子供のままで居たい」のです。

社会心理学の本によると、そもそも社会規範などを無視した潜在意識下では、男が若い女を好むのは至極当然のことで、その対象ピークが少女、いわば「子供」から「大人」になる途中であるらしい。これは古来よりそのようであるようです。
アニメでは直接に性的表現は描かれませんが、セクシュアルな「要素」はそこかしこに散りばめられ、男性が好むように描かれています。男性オタクは登場キャラクターを本当に愛しているようです。女性オタク(そう、女性にもオタクが居ます)は、登場キャラクターのように可愛くなりたいようです。この傾向はコアなファン層にとどまらず、10代、20代、場合によっては30代までもが、広くその価値観を共有しています。この「大人のオンナ」よりも「少女」を好む傾向を私は難成熟性と表現したわけです。
これはある意味必然で、社会が不安定な今、悲惨な「大人」をその目で現に目撃した若者は、「大人になっても良いことはない。子供のままでいる方が得策だ」と思ってしまったのです。かくして身体だけが大人になり、精神的に未成熟な社会人が増えている昨今です。

精神分析の本によれば、「成熟」には対人関係が欠かせないといいます。昔は子供も早くから労働に駆り出され、否応なしに大人と関係することで、成熟が促されたといいます。人と関わらずに定型的な仕事だけをし、家に帰っては部屋でアニメばかりを観ていれば、成熟が果たされるはずもありません。

■マスメディア

マスメディアは自分に都合のよいことだけを報道し、都合の悪いことは報道しない、という当然の原理を、マスメディア自身が忘れ始めているように思います。「他の新聞社が書いた記事」や「他のテレビが街頭インタビューした結果」を元に「世論」が構成されがちで、これを何も疑うこともなく「世の中ではこのように言われておりますが」というように定型化・事実化してしまう傾向にあります。みんなの意見というのは誰も責任を負うことのない「実態のない言説」ですが、これをメディア自身が鵜呑みにし、真実を軽視する傾向に憂慮します。全ての言説は、最終的に責任を負う個人があって、その命をかけて語られるべきです。

2010-10-23

父への手紙 (2)

問題を難しくしているのは従来型の成長戦略の継続では明らかに行き詰まる点であり、各国の経済状況が劇的に変貌する中、一部企業を除いていまだグローバルマーケットに本格参入しようとしない日本は、新たな基本的価値観とクレバーな策をもって立ち回らない限り、今後の成長は望めません。
むしろ、これは単純な選択肢なのです。ここから経済をさらに発展させるには、日本人自らの価値観をグローバル化する。いままで通り国内マーケットに甘んずるのなら、経済発展は打ち止め、あとは緩やかに後退。それが潔しとする価値観。
国は法人と同じで個人の集合体ですから、個人個人の意思が重要です。
私は心のなかで揺れています。どちらを望むかといえばどちらも望んでしまいます。今後も世界をリードする国であって欲しいが、「日本らしさ」、日本の体裁みたいなものを考えるとき、もう身の丈までには成長できたのではないか?とも思ってしまいます。

どちらの道でもそれなりの幸せのあり方というものが有るでしょう。今までどの時代を切り取ってみても、その時代なりの幸せがあったのですから。ただ、これほどに変化の激しい時代はかつて無いでしょう。このような時代では、完全な人生設計をし、それに固執する様な生き方はむしろ脆弱です。求められるのは、今まで常識とされた価値観さえも任意の時点で躊躇なく変更できるような、身軽でフレキシブルな生き方です。確たる自分のアイデンティティを内包しながらも、その外的表現を時代時代の文脈に沿ったかたちで適切に再表現しなおせる、ラディカルかつドラスティックな生き方です。私はこのような生き方を目指しています。

以下に幾つかの項目で私が思うことを書き連ねてみましたので、もしよろしければ読んでみてください。これらは現時点での考えであり、今後変わっていくことはもちろんあると思います。

■地域

長らく地方は過疎化によりどこも経済的に疲弊し、「シャッター通り」などと寂しげに呼ばれてきましたが、その反動か、ここ数年は宮崎県が知事自ら体現するように、観光や特産品、地方限定イベント(アニメの舞台という理由で呼び込んだり)などによる町おこしが盛んで、実際、非常に活気があるとききます。活気がないのはむしろ大都市です。財政や政治機能分散の話も含め、これからは暮らしのあり方が都市集中型から地方分散型へ戻っていくのではないでしょうか。賃金格差はまだありますが、「都会に住むことがステータス」という価値観も将来は意味を持たなくなるでしょう。

■地球環境

日本は少子高齢化・人口減ですが、世界の人口は今年2010年で 68億人 、2050年で 91億人 を突破しそうな勢い(国連予測値)で、特に中国とインドがだんとつです。この人口を養うだけの食料が将来地球上にあるか疑問です。難しい問題ですが、個人的には日本に限って考えても、人口に対する根本的な食料不足・輸入依存を鑑みるに、日本人口は単純に「もう充分多い」と思います。経済の根源には、余剰生産した食料を集団同士が取引しあうところにあると思います。将来、世界的な食料の取り合いになるでしょう。輸入依存の現状から今後数十年の間に少しでも自給率を上げていかなければ危機的状況に陥ると思います。

温室効果ガスの増大に端を発する地球温暖化は、単純な温度上昇ではなく、世界の気候に不安定さをもたらします。あちらでは記録的な猛暑、こちらでは記録的な冷夏といった具合に地球のあちこちを軋ませながら、平均として温度上昇しています。短期の目で見れば極端な天候による干ばつや強力な台風の被害で土地や農作物に甚大な被害が出ますが、長期的に見て心配なのが、地域の気候がまるでシフトしてしまい、相互依存の生態系が崩れてしまうことや、蚊などの伝染病を媒介する虫が生息可能になり、日本でマラリアなどが大流行するといったような事態です。特定の伝染病の免疫を持たない集団に外部から意図せず病原菌が持ち込まれた際の無惨な結果は、古くから人類史が物語っています。

化石燃料などの有限資源から、太陽光、風力、水力、バイオ燃料などの循環型エネルギーへの転換はいうまでもありません。ただしバイオ燃料は燃料用農作物のパイを食用と取り合ってしまうことや、生産過程で使用される化石燃料の程度に疑問が残るのはご存知のことと思います。

2010-10-22

父への手紙 (1)



先月、めずらしく父に手紙でも書こうかと思っていたところに、父から手紙が来た。親子ってもんですかねぇ。仲は普通ですが、手紙をやりあう習慣はありません。父はPCも携帯も使わないため、まとまった内容を伝えるには手紙しかありません。秀丸で草稿を書いてから、わざわざ手書きで便箋に書きました。こんな長文を書くのは学生以来かも。手が超痛くなりました。




先日は、お手紙有難うございます。
今までにも何度かお手紙を頂いたことがあったかと思いますが、これほど長文にわたるお手紙を頂いたのはもしかすると初めてかもしれませんね。手書きや手仕事、手垢のついた媒体を滅多に目にしなくなった今日、やはり直筆の手紙というのは大変有り難いものです。

びっくりしたのは、私も丁度この1、2ヶ月、父に手紙を出そうかなと思っていたところだったのです。これも親子の繋がりというものでしょうか。どうやら遺伝子のなす無意識の世界でしばし不思議な時空を共有したようです。

私の方はすっかり「今どき」のデジタル人間ですので、この文章の草稿をまずパソコンのキーボードをタイプする方法で電子ファイルに作成しています。こちらのほうが段落の入れ替えや書き直しがスムースなのです。そして草稿が終わったのち、改めて手書きで便箋にしたためています。筆記の機会が減ったことによる軟弱な筆跡については先にお詫び申し上げます。書く事を疎かにしているといえばその通りです。読み書きは人の基本と思いますので、精進します。

さて私も気づけば31歳となり、お手紙に頂いたとおり今後の道のりを計画すべき歳となりました。しかし、2010年のこの世間というものを見渡す際に、漠然としかし率直に一つの問いが切実に浮かび上がるわけです。

「これほどに先の読めない世の中は過去に何度あっただろう」

金融危機のあおりを受け次々と破綻する大企業、政治とマスメディアの混乱、少子高齢化、医療や教育の危機、確実に忍び寄る温暖化と資源枯渇、横目で追い越すアジアマーケット。

現在日本を覆っている先行きの不透明感は、明らかに戦後の混乱とは異質のものと思います。絶好調にエンジンが掛かっていたはずの経済大国日本がエンストを起こし、得意のIT産業さえも「ガラパゴス」と呼ばれ、アレよという間に空中分解寸前の状態にまで陥っていることは国民誰もが肌で感じているところです。

2010-10-13

東京スカイツリー(488m)

今日、建設中のスカイツリーで照明の点灯試験があると聞き、見に行ってきました。
開業前の点灯は今夜限りとのこと。
試験なので、照明は地味だったわけですが、それでも沢山の人が見に来ていました。
みんなスカイツリーを愛しているんだなーと思いました。

照明は南西側の一角のみだったようで、私が行った枕橋からではちょうど横になってしまい、微妙な感じでした。むー。でも見れてよかった!


第1展望台付近から下方向にライティング。


地上付近から上方向にライティング。
中ほどでブルーのライトがほのかに灯る。


下部のライトは江戸紫色にもなりました。


おまけ:吾妻橋

2010-10-04

ファスト居酒屋

全品270円の、ファスト居酒屋とでもいうんでしょうか、「金の蔵」に一人で行ってきた。
ただ、ご飯を食べるためです。
800円くらいで帰れたらいいなー。

さてどうなった。

・税抜き!

実は270円は税抜き表示。税込284円。
いきなりしまった。
ってか、数年前に皆で必死こいてあらゆる値段を税込に直したあの時代は一体どうしたんだ。
これも宇宙的スルー・フォースか・・・。

・お通し。

強制的にお通しの枝豆が出て、それも284円きっちり課金。ウゥーン。
帰り際、お通しについて店員さんに聞いたら「店舗にもよるのですが、こちらでは必ず出させていただいています」とのこと。行った渋谷の地下の店舗では、とりあえず必ず出てしまうようです。

・食べたもの

牛カルビやきめし
黒ゴマシーザーサラダ
ジンジャーエール

お通しの枝豆の量が多くてピコピコ食べてたら膨満感。これをファスト膨満感と呼ぼう。
やきめしあんまおいしくなかったね…。次回はピザにしよう。あとジンジャーエールは余計でした。

・おいくら?

1,136円。やはり大戸屋でいいやと思いました。

あ、店員さんはとても良い感じでした!