2007-11-06

正しい自殺をしない人

女性、飛び降り死亡 巻き添えの男性重体 池袋駅前http://www.asahi.com/national/update/1106/TKY200711060221.html

めっちゃ東口まん前で戦慄が走りましたよね。

巻き添えっていうの、ちょくちょくある気がするんだけど、その自殺、「あの本」を読んでのことか?読んでないのか?自殺するなら「あの本」読めよ!

「あの本」っていうのはそう、かつて物議をかもした「完全自殺マニュアル」(太田出版)である。1993年に初版が出て以来、昨年末時点で120万部を超えているミリオン&ロングセラー。僕は実はいうと買っていなかったんだけど、先月ふと買ったのでした。いやまて、別に今死にたいわけじゃない。それにミリオンセラーなんだし別に買ったっていいでしょ?


(*18歳未満の方の購入はご遠慮ください。と書いてある。
読解力のない中坊は読んではならない)

内容は、自殺手段とその考察が淡々と整理されているだけなんだけど、私はこの本の本意はブラック・ジョークの類だと思う。いろんな死に方があるね、いろんな格好で死んだ人がいるよ、自殺って無残だね、または滑稽だねと客観的に自殺を確認することで、そうか、じゃあ格好悪く死ねないな、迷惑かけちゃうよな、バカな考えやめてもうちょっと生きてみよう、と心が前向きに落ち着く効果があるんですよ。その上で、もう本当無理だわ、ただひたすらに死にたい、興味本位じゃなく本気でという人にとってはまさに、死に損なわないための、バカな死に方しないための教科書という側面があるのだと思う。
著者は「生きたけりゃ勝手に生きればいいし、死にたけりゃ勝手に死ねばいい」というドライな意見を提示している。(であれば、誘惑するような内容の「はじめに」は無かったほうがよかったように思う。いまさらですが)

クスリでの自殺は、吐き戻すために未遂に終わることが多いということも知ったし、電車に轢断されて死ぬと肉片が数百メートルに渡って分散して酷いことになり、鉄道会社からの多額の賠償金も覚悟すること(もちろん読むまでもなく一番無残で迷惑な死に方)、切腹で即死はかなり難しく、たいてい腹膜炎で3日4日うめいて死ぬ等、ためになる情報が沢山ある。そうした情報が事例とともに紹介されるので、読む側は「こいつバカな死に方したなぁ」と思うわけで、先ほどのブラック・ジョークに繋がるのだ。

飛び降り自殺の項では「通行人に気をつけろ!」のくだりが面白い。
(中略)デパートの屋上から飛び降りたところ、下に停車してあった車の上に落ちて自分は死んだが、車に乗っていた男性も首の骨を折って胸から下が麻痺してしまい、遺族は2億円の損害賠償を請求されている。(中略)マンションの最上階から飛び降りようとした男性は、下で子どもが遊んでいたため、14階の外廊下手摺りに後手で捕まりながら、「どけ、どけ!」と叫んで子どもをどかせてから飛び降り、見事に目的を達した。(中略)遺族に迷惑をかけたくなければ、このくらいの気配りも必要だ。

件の飛び降りも、池袋の駅前なんていう人ごみ地帯に何でわざわざ、どういうつもりだ、と思ってしまうのでした。。

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