2010-02-25

男性服=スーツ (1)

(1994年に海外の視点で書かれていることに留意)

(中略)スーツは、十八世紀後半の新古典主義の時代の理想から導きだされた近代の美的原理を反映すると同時に、同じ時代に生まれた近代の民主主義志向を映し出してもいるのである。(中略)柔軟で限りなく多様でありうる永続的な秩序の理想も提示している。

(性とスーツ/白水社 p.15)

新古典主義時代に、テイラード・スーツは、階級を問わず堅気の男がけばけばしい服装をすることは好ましくない、という風潮を決定的にした。同時に、服装による性差を一目瞭然とすることを好ましい風潮として固定した。(中略)新古典主義の時代に、ファッションの分野で大胆に革新をやってのけたのは、女性ではなく男性の方であったのだ。(中略)その後の近代世界のファッションは、何百年というその歴史の中ではじめて、くっきりと別れた二つの軌跡をたどり始める。その二つの軌跡は現代にいたってようやく一本に収束しはじめているところだ。

(性とスーツ/白水社 p.13)

0 件のコメント: