2010-02-21

捕鯨問題

まとめもせずに取り敢えず書いてみますね。

まず世論というのは選挙がそうであるように数の問題で。あるトピックに対して一番数の多い意見が「常識」であり「正義」ですよね。クジラは頭が良くてかわいいので殺すべきではないし、生態系を守るうえでも保護するべきという意見が世界的な意見であり、調査のため若しくは食用にするために捕鯨するというのは少数意見なので叩かれてもしょうがないと思います。だって少数意見だもの。
うん、クジラは守られるべき動物であり、殺されてもいいのは知的でもかわいくもない動物です。ゴキブリとかね。そういう理屈。すべての生き物は平等ですか? ヒトが他の動物に捕食されても文句は言えません。

しかし主に欧米で過去に燃料油の目的でクジラ乱獲の歴史があり、日本も加担したかもしれませんが、現在の捕鯨は乱獲というほど酷いものとは思いません。クジラが食べてしまう多数の魚たちを守って食物連鎖を調整しているという意見もありますが、それはそれでエゴだと思います。
うーん色々考えさせられます。

次に鯨肉の市場です。日本沿岸での漁業だけでは足りないんだろうか。足りないから調査捕鯨やってるんだろうけど。南極海で日本は調査捕鯨をやっています。商業捕鯨はできないから調査捕鯨をやっている。そしてクジラを殺さない調査もやろうと思えばできるだろうに、あえて年間900頭弱(クロミンククジラ)を標本として捕獲、殺している。なぜかって? それはもちろん、その肉を鯨肉市場に流通させるため。国内における鯨肉市場の大部分は調査捕鯨の副産物(=肉)が占めている。その60億円以上(Wikipedia)にのぼる売上金で、調査費用がまかなわれている。

つまり調査捕鯨の維持と鯨肉市場の維持は表裏一体というわけ。これは捕鯨反対派から「調査とか言ってその実、商業捕鯨じゃん」と激しく突っ込まれている。

冷静に考えてもみれば、そもそも日本が調査捕鯨を行っている海域は、オーストラリアやニュージーランドが領有権を主張する海域の中だ。南極条約により領有権は国際的には認められてはいないものの、国民心理的には「俺たちの領域に勝手に入ってきて調査とは名ばかりの捕鯨を行っている日本」という印象で捉えられてしまうのも当然ではなかろうか。

日本は日本としての権利を主張するのはわかるけど、元来日本人はスジを通し、曲がったことがキライだったはず。(と思ったけど、大本営の隠蔽体質を鑑みるに単にプライドが高いだけなのかも)

僕らが選択できること。それはきっと単純なことで、クジラの肉を食べたいか食べたくないか、はっきりすることだ。誰も食べたいと思わなければ鯨肉は買われなくなり、市場が消え、調査捕鯨の費用がまかなえなくなるはずだ。そんな単純なものじゃないかもしれないけど。

でもさ不思議なのは、年間結構な量の鯨肉がありそうだけど、消費の姿が全然みえないんだよね。伝統料理とかならわかるけど。普段の生活の中で全然見ないし聞かない。大部分はどこで消費されてるのだろうか?

4 件のコメント:

maeno さんのコメント...

僕もあまり詳しくないけれど、捕鯨問題において食べるか否かは、実はあまり重要ではないんじゃないかと。

蟻の一穴みたいなもので、捕鯨禁止を許すと、マグロやサメなどの魚肉が徐々に規制されて、牛肉を輸出したい人たちが喜ぶ結果だけがもたらされるかもしれない。

鯨は賢いから可哀想っていうのは、僕も単なるエゴだと思ってる。
個人的には牛の方がかわいいくて殺したくない気がするし、これは文化的背景が多分に影響しているでしょう。
日本人の大半が、犬を食べることに嫌悪感を覚えるのと似ているはず。

IWCの成り立ちと現在の加盟国についても論じる必要はあるでしょうね。
もともと、鯨を大事にしつつ活用しようね。っていう趣旨の集まりだったはずが、「鯨つかわないんですけど、参加しろって言われたから加盟しとくわ」って国に占められてしまっているわけで。

全て含めて交渉なんですよね。靖国参拝問題も、尖閣諸島領有権問題も、真面目な顔してテーブルに乗せられてしまうと、真顔でひとつひとつ論じるしかないという、もどかしさ。

micky さんのコメント...

コメントありがとう!
なるほど確かにこの問題は、外交カードの一つということなんでしょうね。
マグロ保護の圧力もすでにかなり高まってきてますよね。
うーんなんだか食料自給率の議論にも繋がりますね。

IWCは意味合いが逆転しちゃったみたいですね。数の力でとりあえず反対国多数、みたいな。

なお、鯨肉の消費についてググッたところ、長崎や宮城などでは若干消費が多いものの、やはり大多数の日本人は年に一度も鯨肉を食べていないらしい。そりゃそうだ。
で在庫がバンバン余るので、多額の宣伝費をかけて「高級」「ヘルシー」とかいって無理やり売りさばいているという。(参考1

デイリーポータルZにも長崎では結構メジャーだよ!っていう記事ありました。(参考2

ただその他の地域ではほとんど食べられていないわけで。。平均をとると偏りますね。

考え方が違うとはいえ、他国の神経を逆なでして捕ってきた肉を需要の無い国内で無理やり売るという、この全然スマートじゃない感じにどうしても違和感を覚えてしまいます。

maeno さんのコメント...

情報ありがと!鯨食は文化だ!とか言ってるけど、もともと日本でも一部でしか食べていなかったらしいですからねぇ。
戦後の栄養補給の手段として、鯨に頼っていた時期があったらしいけど、肉として望んで食べている人はかなり少ないのでしょう。

もろにこの問題は自給率と貿易摩擦の議論なんだと思いますよ。
このスマートじゃない状態は、自国民族の文化を潰すな!という、日本なりの海外に通じやすい反論カードなのでしょう。
文化侵略に対しては、おそらく海外の方が敏感に反応する歴史があるはずなので。

そもそも、日本は全く需要のない「美味しくない米」を、毎年輸入している国ですからね。
貿易が絡むと、どうしても首をかしげる歪みが出てきちゃうんじゃないかと思います。
しかし、このあたりも車産業がぶっ壊れてきているので、状況変化が起きるかも知れないですな。

ティム さんのコメント...

>で在庫がバンバン余るので、多額の宣伝費をかけて「高級」「ヘルシー」とかいって無理やり売りさばいているという。

余ってません。
余ってるだの最近消費が減ってるとかいうのは、反対派のデマ宣伝です。

水産物流通調査から調べた入荷量と出庫量の比較グラフ
ttp://1.bp.blogspot.com/_8TnJRwkIfd4/SZd-AOG_k8I/AAAAAAAAAyg/2scGH6gKtqo/s1600-h/annual_0812.png

捕獲サンプル数を増やし、供給が増えた2006からは減るどころか増えてますよ。

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=52495

シーシェパードの妨害で中止になった現在では在庫が足りるかどうかと不安に襲われています。